本記事はベストセラーともなった三枝匡氏の著書である戦略プロフェッショナルの読書感想です。
ビジネス書ではありますが、本の7割は物語形式ですので、ネタバレしたくない方はお帰りください。

・事業会社でWebマーケティング社員をしています
というわけで仕事のマーケティング戦略の学習のために戦略プロフェッショナルを読みました。
【戦略プロフェッショナル】はこんな方におすすめ。
・事業会社のマーケティング担当者や経営者の方。
結論から言うと、マーケティングに関わる方や、会社経営に関わる方などに読んでいただきたい良書です。
以下、主に学べること
・市場の見つけ方
・顧客の振り分け方
・組織改革や部下育成
・高額商品を売りやすくする方法
目次
戦略プロフェッショナルの概要
著者はの三枝匡氏は日本を代表する実業家です。
経歴はこちらのとおり
・三井石油化学(現三井化学)入社
・20代でボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の国内採用第1号コンサルタントになる
・スタンフォード大学で経営学修士(MBA)取得
・米国バクスター社と住友化学の合弁会社の社長、ベンチャーキャピタル会社社長などを経る
・不振企業の事業再生専門家として活動
・ミスミグループ本社の社長・CEOに就任
・一橋大学大学院経営管理研究科客員教授、内閣府参与等も務める
・ミスミグループ本社シニアチェアマン
異色すぎるしすごすぎてわけがわからんという方もいるかもしれませんね。
どういう方なのかあまり想像できないかもしれませんが、安心してください。
戦略プロフェッショナルは物語形式ですが、モデルは三枝匡氏本人です。
そしてこの戦略プロフェッショナルは、三枝匡氏がやってきたことを設定を若干変えつつリアルに描いています。
よって単なる戦略論を書いたつまらないビジネス書ではなく、物語形式で三枝匡氏がやってきたことを疑似体験できるようになっています。
読み物としても非常に面白いですし、物語形式なので印象に残るため経営戦略やマーケティングの学習のためにも非常に優れた本となっています。
物語は30代の広川(モデルは三枝匡氏)が、大手鉄鋼会社の第一鉄鋼から新日本メディカルの常務取締役として出向し、新日本メディカルの米国の提携先であるプロテック社の商品を取り扱うプロテック事業部を立て直し、桁違いに飛躍させるまでを丁寧に掘り下げています。
優れた経営戦略を学べるだけではなく、組織変革中の人間関係や取引先とのやりとりが生々しく描かれている点が、他のビジネス書とも一線を画すしている部分となっています。
特に印象に残ったページ
ここからはメモ的に僕お独断と偏見で印象に残った部分を記していきます。
17ページ
ハイテクベンチャーがつまづく時は、技術開発で負けるというよりは、生産技術や営業体制で負ける場合の方が圧倒的に多い。
市場が成長するに従って競争のポイントが写っていくことになかなか気づかない。
全面戦争ではなく局地戦争に持ち込む。
事業の絞りが大切、経営戦略論でセグメンテーションと呼んでいるもの。
どんな小さなセグメントでも良いからその分野でナンバーワンになるのが勝利のコツ。
ポジショニングと開発し続けることが大切。
48ページ
1970年代から80年代のアメリカ経済の凋落の原因は、事業の善玉・悪玉をはっきりさせて、余計な事業はなるべく高値で売却し、会社の株価を高く保つため異長期思考の投資は避け、社内の研究開発を切り詰めた結果、研究者はやる気をなくし、自社技術は枯れてしまったことにある。
アメリカの当時の不景気は日本との貿易問題ではなく、米国企業の近視眼的な誤った企業戦略が原因である。
長期思考で企業の力を育てることが重要。
65ページ
現状分析をする。
そのためには業績、市場の規模・成長率、競合、当社の強み・弱みなどのフレームワークを用意して考えていくのが良い。
そしてやっとポジショニングが見えてくる。
マーケティングを行う前に現状認識をしっかり詰めておかないと的外れなマーケティングになりかねない。
94p
競争とは相対的なもの。
自社が相対的にどういう位置にいるのかは基準がいる。
それを判断するには仮説が必要。
それを検証していきズレをチェックしていく。
そうやって問題点を探す力がついていく。
183ページ
同じ商品でも支払い方法をかえれば買いやすくなる。
機械を1000万円で売るよりも、機械は無料で、リピートする検査薬に機械の金額を載せて販売するだけで、病院内では大きな設備投資としての議論のうちに機械が登ることがなくなり、買いやすくなる。
222p
うまくできたセグメンテーションは客になってくれそうな人々がどこにいるかを示すだけではなく、客になってくれそうもない人がどこにいるかも示してくれる。
2×2などのマトリックスをつかったセグメンテーションモデルを使うと市場をシンプルに切り分けられる。
【ニーズの大小×売り込みに成功した際の当社のメリット】などを縦横軸にしてわける。
一番狙い目なのは【ニーズ大で当社のメリットも大】で、最後に手を出すのはニーズも利益もどちらも小さい部類のセグメント。
238p
業務の進捗具合をコード化することによって、進捗具合の曖昧な返答が減る。
営業マンだけではなく、それ以外の業務にも使える。
247p
経営戦略の要諦は絞りと集中。
絞りが曖昧であれば外部に向けた情報発信まで不明瞭になる。
経営資源は限られているのでやめることを割り切らなければ無駄な投資を続けることになる。
まとめ:つまらないビジネス書に飽き飽きしている人にはとてもおすすめ
今回は以上です。
現実をもとにした物語形式であるが故に、組織改革や経営戦略を実行に移していく際など非常に生々しく描かれており、だからこそ印象に残り学びやすくなっています。
学びが多いだけではなく読み物としても面白いので、おすすめです。
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